
Q)若い世代でも、海外で起業したいと想いを抱いている方がいらっしゃると思いますが、その方達へアドバイスをすると、どんなことですか?
日本で流れているASEANの情報は、かなり偏っているので、それだけで判断せずに、実際にこちらの人達に会う、来てみるというのは判断するのに有効なのかなと思います。
とはいえ、烏合の衆になって出て来ないで欲しいとは思います。
つまり、あの人が出ている、この人も出ている。みんなで出て行くから、俺も出ようとする時に、10人だから大丈夫じゃなくって、自分で考えて、自分ひとりでも一人でも出て行くじゃないと自分が持たないと思います。
結果、その上で同じような人が集まりました、3人集まりましたというのならいい。一人でも立ってみますというのがあると折れにくいのかな。
日常英会話、雑談できることもとても大事ですね。単語を並べるだけも、その勇気とか、相手とコミュニケーションを持つ力ですね。
Q)起業コンサルタントとリスクコンサルタントは、どの辺りが異なるのですか?
リスクに拘って依頼するケースが日本を含めてアセアンの企業は、実は少ないのですね。個人で起業する場合でも、聞きたくない情報もちゃんと知っておくのは大事ですね。業界ならではの落とし穴もあるので、リスクへの目線はある方がいい。
リスクが何か分からなくても「リスクがあるんだ」という目線。形に乗せるコンサルティングも大事ですけど、落とし穴に落ちたら形も何もない。下手したら帰らないと行けなくなる。多くの人に成功してもらいたいので、そのお手伝いはしたいですね。
Q)起業されてみて、シンガポールならではと思った事はありますか?
ならでは?
なんだろうな……(笑)すぐ値切る。中国の色合いが強い。
なんだろうな……、意外と日本の影は薄いなと思います。実は距離もあるし、他のASEANの中で浮いちゃう感じはしますね。これは僕の印象かな。
Q)シンガポールを知る上で、努めていることはありますか?
必ず英字メディアは追っていますね。
あと、メールニュースは、10位は取っていますね。全部は見切れませんが、一日一本は必ず読む様にしていますね。
Q)全てを色々知る必要は無いとは思いますが、察知しておくというのは大事ですね。
そうですね。本当にいいのは、定点観測がいいんです。
フリーマガジンでもいいんですが、読むニュースを決めておくと載るニュースと、載らないニュースが見えたり。なんでこれ載せたんだろうという妄想が広がってきて、ニュースができる過程を考える頭が出来てくる。
想像力とか、ニュースへの見方の角度が変わったりしてきます。頭での思考回路が変わってくる。
Q)佐藤さんは、これからのアジアをどのように感じていますか?
もっと、もっと伸びて行くと思っています。もっと日本の投資の機会も増えて行くと思います。
その国は、時代によって変わって行くと思いますが、例えば、シンガポールではなくって、ベトナムとか、インドネシアなのとか変わって行くでしょうけど、投資の機会はまだ伸びると思います。
そこで、日系企業そのものの課題としていうと、どうやってASEANのマーケットを取り込めるかですね。
簡単な例えでいうと、ハイスペックで良いものだから、売れるのかとか、ローカルの人を雇った時に、日本人チームとどうやって行くかですね。クリア出来ずとも、課題として認識出来る様になるとASEANは、日本の投資を切望されているので成功の道は大きい。
Q)ASEANの中で、日本人としてどういう風に、立ち振る舞っていく必要があると感じていらっしゃいますか?
普通に(笑)
日本人とかシンガポール人とかじゃなくって、この人と思えること。
人対人と、思えること。
言語も違うよね、習慣違うよねって思えること。自分のカミさんの話をして申し訳ないですが、この辺、凄く上手。誰とでも仲良く出来る。
(以前)国の安全保障など仕事を経験してきているので、彼女に言わせると、「世界平和は、お隣さんとの平和から」って言っていますね。それを見ていると、学ぶことありますね。
Q)佐藤さんが人生で育てているH SEEDS(人生で育てる種)は、どんなものだと思いますか?
頭にぱっと浮かんだのは、「希望」ですね。
普段意識しているかはわかりませんが、それが出てきました。あと、希望の文字の一瞬前に出てきたのは、自分の子ども達の顔ですね。彼らのために何かを残したい。その残したいとものはなんだろうと思うと、「希望」。
生きる為の希望かな。
生きていて良かった。
暗い事ばかりじゃないし、楽しいことの方が多いんだよという種まきかな。
「希望を持って生きる。」
Q)それがあったからこそ、シンガポールで起業されたのですものね。
そうですね。
希望がありましたね。
Q)佐藤さんのこれからのビジョンはありますか?
この業界で、日本人で頼るならこの会社となりたいです。これを実現するために、いくつかオフィスを広げたいと思っています。
目標としては3年以内にひとつ、その後は、15年くらいの間に。なので、健康に気をつけて、50、60代になっても、自分より10、15歳位若い人達とも、仕事の話、業界のトレンドの話が出来る様に感覚も体力も保っていたいですね。
佐藤剛己さんの会社のホームページ
ハミングバード・アドバイザリーズ
http://hummingbird-advisories.com/japanese/index.html
インタビューを終えて思う事☆
元新聞記者、取材のプロの方に、インタビューをするということもあって、かなり緊張しましたが、あっという間のインタビューでした。
肌感覚を求めて、海外生活を選択、仕事で、現場感を体感する為に選ぶ。この言葉に、思い出しました。私が英国へ行ったのも、今、ここで働かせて頂くのも同じでした。
分かり易く、人が納得出来るような理由を立てるより、たとえ、理解を得れなくとも、ひとりでも自分の声に従ってみるって大事ですよね。
そのひとつひとつの選択が、自分で自分のことを、認めることになる。その決意が確信となり、やがて自信となる。自分らしい生き方をする大人が増えるといい。佐藤さんのおっしゃった「残したいものは、希望」その言葉が響きます。