若林憲司さん Sakamoto Educational Systems Pte Ltd Managing Director Ver 3

算数を通じて、勉強が楽しいと思う子ども達が増えたらいいなって思います。シード、その種まきはSAKAMOTOとして可能性はあると思っています。
Q.いま、シンガポールの子ども達を見ていて、どんなことを感じますか?
シンガポールでは、ほぼみな塾に行きますよね。広場で遊ぶって経験がないですものね。これでいいのなかーと感じるところはあるんですが。
Q. 広場、ほぼないですものね(笑)
ただ、きっちり教育されていますから、学校に行っても不良学生がいないですよね。完全に管理された教育だからじゃないかなと思います。
以前、ある学校を訪問した時に、鍵が何重にもかかっている部屋を見せてくれたんです。ひとつの教室に、iMacが200台並んでいました。
一人に一台、iMac
日本では当時まだ森元首相で、「IT」と旗を上げ始めた頃に、こっちでは既にひとりひとりに与えられていましたね。これだけ教育にお金をかけるんだって。
調べたら、当時教育予算と国防費と同じ額。これだけ予算をかけて教育するんだって驚きましたね。
国策として人材育成に力を入れる。この辺がハッキリしていますよね。こういう教育を受けているから、例えどこに行こうが生きて行けるでしょう。なんらか食いっぱぐれはなくなるだろうと察しますね。
Q. お話を聴いていて思うのは、勉強が出来る子ども達が育っていくけれど、アイデアを出すとか何かを生み出すというのは、また違うのかなと思いますが、どう感じられますか?
そう思いますね。シンガポール大学はアジアでNo1になった。
とはいえ、日本にはノーベル賞を取る人がいますが、ここままだいない。ただ、ティーチャーズトレーニングに来る先生の中には、教員のバックグラウンドが無い方もいます。
逆に、色々な仕事を経験されている方も多いので面白い。「憲司、こんな解法があるよ」とか言ってくれたりするんです。算数のバックグラウンドがないのだけど感性が豊というか、実際にはこういう人達が現場で活躍しているんだと思います。
Q. これまでの人生を振り返ってみて、もし、自分の人生から問われている質問があるとすると、若林さんのそれはどんな質問ですか?
一体、どれだけ失敗したら気が済むんだ?かな。(笑)
前任者がいるわけではないので、どうやったらいいのがわからないから始まるんです。
Q. そうですね。また海外ですしね。
どうやったらいいかわからないから、もがく。そりゃ成功した数よりも、失敗した数の方がはるかに多い。だから、前にも同じ失敗したんじゃないかって思い出したりします。
Q. その問いかけが来た時、どのようにモチベーションを上げて行くのですか?
仕方ないよね、俺だもんねって(笑)
やって特に酷かった失敗は、身体が憶えているものだし、忘れちゃっている失敗があれば、「ま、許すしか、ないよね」って。(笑)
Q.失敗するともう駄目になっちゃうと思う人が多いですが、そんな時に向けて、どんなメッセージがありますか?
よく、ビジネスプランやロールモデルがっていうけど、実際やってみると現実には違うってケースが殆どなんです。
それよりも、やってみること。まずは、やってみることですね。やりながら組み立てて行けばいい。
特に若い方は、いくらでもやり直せる。やり直す体力と時間がある。いまなんて、老眼ですから字を読むのも大変なんです。(笑)
若いうちはなんでも出来る、変えて行ける。もしそれを変えていけないような環境なら、また他の出来そうな環境に行けばいい。
Q. まず、やることですね!
この10年比べても、もの凄く変わりましたよね。以前はスマートフォンなんて無かった。そして、これからの10年を考えたら、どんな形であれ各家庭にロボットが入っているだろうし、人工知能が色々なことを教えているだろう。
未来のことなんてもう誰も予測できない分だから、だからこそ、やりたいことをやったらいい。
もしかしたら、色々なことを忠告する人もいるかもしれない。「そんなことやったって……」などと言う人もいるだろう。それはそれとして貴重な意見として聴いておいて、でもこれだけ時代が急変して行く時代に誰にも確実なものなんてないんだから。
だからこそやるだけやってみな。やってみたら悔いは無いはずですよね。
Q. はい。やるだけやってみての失敗なら、悔いが無くなりますね。
なんか問題があった時に思うのは、「神様は超えられない試練は与えない」実際そうだなって思うし。とんでもないニュースが飛び込んで来ても、どっかには解決策はあるんですよね。
Q. これまでに、もう駄目だ帰ろうって思ったことはありましたか?
1度だけありましたね。だけども、自力で乗り切りましたね。
自分の足で走り回りました。走り回っていると、あなたの言っていることは出来ないけど、こんな方法なら出来るよって言ってくれる人に出会える。
Q. ただ問題の中にいると、その0.1の中の可能性に目が行かないものですよね。
そうです。これで生活がかかっている人がいると思ったら、そりゃ保守的にならざるをえない。でも逆に、小さな可能性にかけて新しいことをドンドンしていかないと、しぼんでいきますよね。そこは気をつけていますね。
数年前に、新しいことを始めたんです。
Q. それはSAKAMOTO 塾でですか?
はい、同じ算数です。これまでは小学生対象でしたが、中学生に数学を教え始めたんです。
Q. ターゲットを広げて行ったのですね?
小学生のときSAKAMAOTO式を学んだ子どもの親御さんから、中学生のサカモト塾はあるのかと声が増えて来たので始めました。
Q. 先程お話されたこれからAIの時代になって、答えは瞬時に出る世界になって、そんな中でも私達にとって数学は、どんなものを齎してくれると思いますか?
論理的思考ですよね。色々な学問をやっていても、ロジカルに論理的思考がなければ自分の結論に辿りつけない。この汲上げ方が出来ない人が結構いる。
よくあるのは、低学年の頃には算数が出来たのだけど、高学年になって出来ない。
とういうのは、高学年になると問題も難しく論理的に考えないとたどり着けないんです。この手段のひとつがSAKAMOTO式の考え方なんです。
このロジックは、社会人になっても通用するとおっしゃてくれる人もいます。算数のいい所は、論理的思考をどう摘むかをマスター出来る。これが一番のポイントだと思います。
Q. なるほど。これまでのお話を聴いていて、論理的思考が、人生ピンチが起きた時に、役に立つんだろうなと思いました。子どもの頃、それを分かって学べたら良かったなと思います。(笑)改めて教育とは、そういう土台を作ってくれていたんですね。
子どもの頃は感情でものを言ってもいいけど、大人になればそれだけでは駄目ですよね(笑)
Q. そうですね。算数は考える力の種になるんだと感じました。私の活動であるH SEEDS。人生は未来への種まきをしていると考えるとき、若林さんはこの人生で、どんな種を蒔いていると思いますか?
算数を通じて、勉強が楽しいと思う子ども達が増えたらいいなって思います。
コンペティションを開催しているのですが、負けてクヨクヨするんじゃなくて挑戦しているということが何より大事。もっと勉強したら、この前より良かった。そうした経験を通じて、勉強するという姿勢を世界中の子どもに身につけてもらいたい。
シード、その種まきはSAKAMOTOとして可能性はあると思っています。
Q. 答えを出すプロセスが大事。それが若林さんの種まきなのですね。
実際に社会にでたら、自分が考えた答えの通りにならないことザラにありますからね。その時役立つのは、子どもの頃から学んだ経験、論理的思考という裏付けがあれば前に進める訳ですよ。
Q. 大人の私達も学びたくなりますね(笑)
保護者向けにも、時々有料ワークショップを時々開いています。
ホームページでご案内させて頂いています。
Q. Seeds Selectionというコミュニティーを立ち上げたので、そちらご案内もさせてください。
ぜひ、お願いします。
保守国家に住んでいますけど、色々なことをやっていきましょう。色々なことをやっていけば、色々な人と出会いもまたある。また、そこから新しい方向に進むかもしれません。
Q. 本当ですね。これから他の国への展開も考えられているのですか?
はい、ひとつ、ひとつですね。その国に合わせて修正していきながら、時間をかけて展開して行きたいと思っています。
若林憲司さんのご活動
SAKAMOTO Method ホームページ:http://sakamoto.net/
写真撮影は、Boat Quayのレストラン香川にてご協力を頂きました。
誠に有り難うございました。
☆☆☆インタビューを終えて☆☆☆
若林さんのテンポあるお話を聞いていると、トントンと今がある様に思ってしまいますが、全く新しい、しかもとてもニッチな分野への挑戦は相当なご苦労があったんだろうなと察します。
分野が異なっても、これまでのスター☆達にも共通した、先駆者に備わった特別な感性があるなと感じながら、お話を伺っていましたが、それは全く未知な世界を見通す力ではなくて、逆に、論理的思考の先に、ぼんやりと浮かんでくる未来に、自分を変容させていく行動力なのではと感じます。
そして、これはピンチの時にこそ発揮されるのですね。変化の激しい時代だからこそ、すぐ行動していくことの大切さを感じます。
算数は、論理的思考を養えるってことを学生の頃にわかっていて学べたら良かったなどと大変甘く、言い訳じみたことを思いましたが(笑)これもまた、わからないでやる(行動)からこそですね。
若林さん、そして算数専門塾SAKAMOTOの今後の世界展開も楽しみです。
最後に質問です。
「未来に向けて、自分のどんなことを変えて行きますか?」