
何のためにって、そう考えると、愛する人を守りたいからって。そう思ったの。
Q. シンガポールには徴兵制があり、男性はある年齢になると入隊しますが、今回は、国が初めて女性にボランティアアーミーの募集をかけたのですよね?ボランティアアーミーとは、どんなことをするのですか?
マーチ(歩く)、マラソン、腹筋など体力作り。あとは集団行動、みんなで同じことをやる。タンカーを皆で担ぐとか。後は、射撃の訓練もしましたし、その取り扱い方など習います。
Q. ボランティア活動とはいえ、厳しいですよね。体育系のめぐみさんでも辛そうですね。
衝撃的な2週間でした。
あまりの緊張で寝ているときも起きている感じです。
キツ過ぎて、泣きました。(笑)さすがに、みんなも泣いていましたね。
Q. その時、どんなことを考えましたか?
それこそ
「何のために?」
「なんで応募したのか?」
毎日、その問いですよ。(笑)
Q. 辞めたい〜って思わなかった?
周りの仲間たちも言っていましたけど、キツいけど辞めたいとは思わなかった。やり遂げたいって思った。その気持ちの方が強かった。
みんな同じことを考えていたと思う。
なぜ、ここにきて、こんなきついことやるんだって、さっきの話と共通するんですが、みな家族のためなんですよね。ま、一番は、自分のためなのです。
訓練は、攻撃&守備の方法なんだけど、私が個人的に感じたのは、これは「愛」って思ったの。「愛とは何?」ってことを習ったなって思うの。
Q. なぜ、そう思ったのでしょうか?
あの訓練をやりたいって思うのって、「愛」がなきゃ、できないって。
Q. それは、国に対してということでしょうか?
最終的にはそうなんですけど、誰も最初から「国のため」なんて、思ってないと思う。もっと身近な人への愛だと思います。
身近な人を守りたいって思いがないと……、できない……。冷静に考えたらね、なんてことしているのってことばかりなのですよ。(笑)
でも、大事なのは訓練の内容ではなくて、「何のために」ということを全ての人が考えるんです。
何のためにって、そう考えると、愛する人を守りたいからって、それは周りの人と話していてもそう思ったの。
Q. そんな中で日本人ひとりのめぐみさん。仲間からも訊かれませんでしたか?
言われましたし、聞かれました。単純に、恩返しをしたいって答えました。
でも、周りのみんなの動機も、これまでシンガポールに何年か住んで来て、ここでもらったものに恩返ししたいって。
Q. え?他の方も、シンガポール人ではないのですか?
シンガポール人は、およそ30%。後は、ほとんどがアジア人です。
Q. へ〜?シンガポール国籍ではないってこと?
殆どの方が中国、マレーシア、一部ヨーロッパ人もいました。つまり、Permanent Residence(永住権保持者)ですね。
この経験は、愛が溢れているとしか、私には感じなかったですね。訓練と形を変えているだけで、愛だと思いましたね。
Q. 何かを守りたいという「愛」なのですね。これ訓練はずっと続くものですか?
アーミーボランティア活動は50歳まで。訓練は、あとアドバンスの訓練があるのですが、今は基本、与えられた任務をやるだけです。
私は「セキュリティー」の担当なので、例えば、国のイベントの時に、警備のお手伝いするという感じです。
Q. 2週間の訓練を終えると、それぞれの担当を行うというボランティア活動になるんですね。
そのボランティア活動も1年に7日間だけって決まっているんです。
Q. シンガポールのナショナルイベントでは、しっかりした方々が警備をやっているのですね。
アーミーに入ってみて、改めてシンガポールを深い所で理解できたと思います。シンガポールの底力を感じました。
それもやはり「愛」だと思っています。
めぐみさんのいう、その「愛」とは?
受け入れる「愛」です。
ボランティア制度も、人を信用しないと任せられないですよね。ましてや外人にまで。
Q. 本当ですね!重要なことは直接しないにしても。
国防をさせたのは、恐らく世界で初めてだと言っていました。だから、プライドと責任を持つ様にと言われました。
やっぱりそこに、私を信じてくれる「愛」を感じました。
Q. 考えたら凄いことよね?外国人に対して、扉を向こうから開いていく。
シンガポールは、そういう機会を与えてくれる。
アーミーに入ってさらに感じているのは、受け入れられているなって思いました。
Q. 貴重な体験でしたね。そんなめぐみさんがいまメッセージとして何か伝えるとすると、どんなことを伝えたいですか?
大層なメッセージはないですけど、やっぱり「自分を愛すること」ここが始まりですよね。
アーミーでよく言われたことがリワード求めるなって。
Q. それは、見返りを求めるなってことかな?
常に態度で、行動で示せ、言葉はいらないって言われて。
例えば、川で溺れた人を助けて、後で消防から表彰されるというような事があると思いますが、助ける時は表彰されたいなんて、何も考えていないはずだし、とっさの気持ちと助けたいという、その一心だけでやっているはずなのですね。 そこに人助けしたから表彰してよ、という気持ちが入るのはおかしな事で。
やって当然。
正しい行動を続けていれば 、表彰とか、仕事なら昇格とかは結果として後からついてくる。最初からそれを求めるな、まずは行動せよという意味ですね。自分がやりたいことを自然にやっていれば、人はちゃんとみている。まずは、自分がハッピーでいることが大事なんだって基本なんですけど改めて思いました。
Q. 本当に貴重な経験でしたね。私は、自分の人生から問われる質問があると思っていますが、めぐみさんがこれまでを振り返って、ご自身の人生から問われている「しつもん」はどんなことですか?
宇宙のような質問ですね(笑)
「私はなぜ、ここにいるのか?」ですね。
いつも考えていますね。なぜ、シンガポールライフをハッピーにしたいのか?なぜ、インタビューを(今)しているのか?やはり自分のパッションを考えていかないと、次には続いていかない。
Q. 自分にリマインドしている感じですね?
どういう風にいきたいのって。
Q. 最後に、同じシンガポール在住の方にメッセージをお願いします。
一緒にシンガポールライフを楽しみましょう!
楽しいことも、辛い事も全部一緒に楽しみましょう!ですね。
中澤めぐみさんのご活動
シンガポールスタイル ブログ:http://ameblo.jp/singapore-times/
☆☆☆インタビューを終えて☆☆☆
これまでのお話を聴いていた感じたのは、めぐみさんがこの国で、楽しい時間を分かち合っていくことも、ボランティアアーミーに参加されたことも、すべてはお子さんへの「愛」ではないかなと感じます。
愛の中にある優しさと強さと、その深い母の愛を体験を持って示し、ここで一緒に育てて行くために。そう感じました。
忙しい日々の中で、気づけば流れるように時は過ぎるけれど、ふっと立ち止まって考える「何のために?」習慣、仕事、そのやっていることがなんであれ、自分のそれが、どこに向うステップなのかを、もう一度考えることの大切さを思いました。
その先に、他者への愛を見つけたとき、自分の生きる根っこが見えて来る様に思います。めぐみさんのこれからのご活躍も楽しみです!
最後に質問です。
「いま居る環境に、どんな貢献をしたいですか?」