
会社の転籍でシンガポールへ。時代の流れと共に変化して行く中で、自分の行く道を模索しながら進む。日本に戻ってから観えて来た、これからの働き方をどのように感じてらっしゃるか、太田智さんにお伺いしました。
仕事するだけではなくて、どうゆう風になっていきたいか、自分のあるべき像を考えたりとか、それをどうやって周りをも巻き込んでアピールしていくかも、仕事の一貫なんだなって覚えた。
Q)太田さんがシンガポールに行かれたのはいつでしたか?
2009年7月だったかな。
滞在は2年半程でした。
Q)シンガポールへは、どんなきっかけで行かれたのですが?
仕事ですね。
日本のP&Gに勤めていましたが、転籍で行きました。
移動した当初は、転籍前と全く同じ仕事でしたので、席が変わったという感じでしたね。
Q)シンガポールに住んでみて、どう感じましたか?
住み易い所でしたね。
生活のベースとしては、自分にとっては特に日本と比較して、何かが足りないと感じたことはなかったです。勿論、日本食があまりないとか、細かい部分はありますけど。実際に何かが変わったとか、自分たちの生活自体は、大きく変わったことはなかったですね。
ただ、仕事の面では悩んでいましたね。同僚がインド人になり、チーム編成も変わって、日本人全体が評価されにくいと感じましたね。その後、プロモーションもあって部署を移動して、春美さん(インタビュアー)ともそこで会いましたね。
Q)2年半の中でご自身が得た事はどんなことですか?
シンガポールで得た事は大きいですね。
まずは、働き方ですね。
みな、帰宅が早いですし、どう効率よくやっていくかを考えられている。ただ単に働くだけではなくて、自分が何をしているかを見せる。
Q)仕事のパフォーマンスを見せるということ?
日本人的には、もう少し奥ゆかしくやるべきというのがあるけど、海外ではみなアピールするじゃないですか?それは合理的で、多少それを見せることも重要だと思いました。
それは仕事するだけではなくて、どうゆう風になっていきたいか、自分のあるべき像を考えたりとか、それをどうやって周りをも巻き込んでアピールしていくかも仕事の一貫なんだなって覚えたのが、ひとつ。
あと、僕の上司がドイツ人で、当時スイスに居たのですけど、彼のマネージメントとの仕方は、目的を抑えて手段は任せる。手段も、何か困ったら俺が助けてやるというスタンスで。
それまでは、手段の一つ一つ観られていたというか、例えば文章の書き方の細かい所とか言われていたような、マイクロマネージメントから、もっと大きくマネージするその方法を知ったことは、仕事面では大きかったかな。
Q)社風としては同じでも、やはり場所が変わることで関わる方達が変わったからということでしょうか?
風土はやはり違いますね。
やはり自分がいた部署に関して、シンガポールの方がもう少し、よりP&Gっぽい文化があったかもしれないですね。
Q)そこで新しい働き方を感じたのですね。
インド人の同僚達は、5時からバトミントン行ったりとか、日本ではなかなかないですよね。あとは、シンガポールで、会社外の友達も出来たのはありますね。
日本では仕事も夜遅く、みな住んでいるところも離れていますから社外の友人と会うのは難しかったりするのですが、シンガポールは小さいので、仕事帰りにも会い易い。趣味の吹奏楽も、レベルの高いところに参加出来たり現地の方達と接する機会も多く、自分の幅は広がった気がします。
海外という場所を上手く使って、色々と新しい事に挑戦出来たかな。日本のP&Gの環境でも、色々な人と仕事をしましたけどそれでも海外に行って、より広がった感じがしますね。
Q)ご自身の幅が広がったとは、もっと具体的に言うとどんなことがありますか?
具体的にいうと、まず、会社員だけじゃない人生があるんだって僕は初めて見ましたね。「シンガポール和僑会」の立ち上げに関わっていたので現地で活動している色々な日本人に会いました。そこで出会った人達をみて、自分を比べて自分って、何も持ってないんだなって思いました。
それは今でも思うのですが、会社というブランドを背負って、会社の歯車のひとつとして動いているってことは、自分で何かをやっている人達と比べると遥かに狭い領域で生きているんだなって思いました。
やっぱり自分は守られている世界で生きているんだって感じました。
そういうことを理解することが、幅が広がったということですね。周りを見て、自分が小ちゃいと感じましたね。
Q)なるほど。そして日本で戻るに当たって、どんなことからスタートしたのですか?
仕事は、エージェントを通して探して頂いて、面接は帰国して受けましたが、転職が決まってから本帰国したという感じでしたね。帰国するということは決めていましたが、転職ということがどんな事があまり分かってなかったので、エージェントにお願いして、その中で提案された企業から選択しました。
日本に戻って良かったのは、シンガポールからの友人の小野さんのご紹介で、色々な人と出会うことも出来たので、日本でも色々自分自身の生き方を考えて、行動している人達と知り合えました。メインで仕事を持ちながら、他にも色々活動している人達と知り合えたのは良かったですね。
Q)それは、日本を出る前では出会えるタイプの人達ではないと感じる方々と出会ったということでしょうか?
そうですね。何もなく帰国していたとか、もしも、あのまま神戸に居て、東京に異動とか転職して移っただけでは、きっと出会えなかったでしょうね。
Q)帰国して良かったなという思いでいらしたのですね。
そうですね。新しい職場で仕事も問題なく。評価もされていましたし、大きな不満は無かったですね。
実はその時入った会社でシンガポール駐在も決まったんだけど、その後、他の会社に転職したんですね。
Q)駐在が決まっていたのに、退職したということですか?それは自分の中に、何か他に思うことがあったのですか?
シンガポール駐在するという事が決まって、それはその会社の中では、良い選択だとは思ったのですが、またシンガポールに戻っても大きなスパンで観ると、自分自身のキャリアにとって変わらないなと、その時は感じたんですね。いま思うと色々メリットは感じますけど、その時はそう思わずに。
丁度、外資系の日本法人立ち上げに関わるという仕事に出会い、今までと違った経験が出来る。あまりないチャンスだなと感じて、転職したんです。
Q)ビジネスの立ち上げを経験してみようと思ったのですね?
そうなんです。ですが、入って半年後、その会社自体が大きな会社に買収されてしまいました。
それで、元々興味を持っていた教育関係の会社に転職しました。
to be continued
続きはこちらから
Ver 2:http://shitsumon-sg.com/star/star/5211/
Ver 3:http://shitsumon-sg.com/star/star/5213/