
大きい循環の中で、僕はその一部だとしたら、大きな循環のことを考えて生きられるってことが、結局は自分にとって幸せなんじゃないかなって。
Q)いま半農半医として行っていらっしゃいますが、その先にあるものはどんなことをイメージされているのですか?
集落全体を、キレイな循環の場にしたい。
きっと、循環があるところって、皆にとって心地良い場所になると思うし。
たぶん、都会の生活で循環がおかしくなっていらしても、循環の良い場にいるだけで、おかしなところが回復していくんじゃないかな。
Q)具体的にいうと、そこで取れたお野菜を食べれたり?
業や食事、アーユルヴェーダ、ヨガなど。
色々なことを繋げて、色々な人を巻き込んで、繋げて行きたいですね。
Q)ぜひ、「しつもん」で引き出しの場も!(笑)先生は、そういう場を石川県七尾市で、作って行きたいなと思ってらっしゃるんですね。
循環を大切にした「医療」をして行きたいなと思っています。
Q)他にどんな活動を今はしていらっしゃるのですか?
能登里山里海マイスター育成プログラム
(http://www.crc.kanazawa-u.ac.jp/meister/)にも参加しました。金沢大学と地元の自治体が行っているものなんですが、本当に色々と面白い方達がいます。
そのご縁で、先日も「砂糖について」のお話をさせて頂きました。
Q)伝えて行くという活動もされていくのですね。
聞きたいという方がいらっしゃれば。
それを通して、循環が大事だよってことを伝えて行けたらいいなと思います。
Q)これまで色々な経験をされてきて、三林先生の自分の人生から問わられる「質問」は、どんなもとだと思いますか?
いま学んでいるアーユルヴェーダ(インド伝統医学)の古典書「チャラカ・サンヒター」では、有意義な人生の説明の一番最初に、「すべての生命の幸福を願う人生」と書かれています。
最近、思っているのは、大きい循環の中で、僕はその一部だとしたら、大きな循環のことを考えて生きられるってことが、結局は自分にとって幸せなんじゃないかなって。
そもそも「自分」って、いうことすら、ちょっと……。
Q)自分のことを、「自分」と認識することですね。
それが違うんじゃないかなって、最近思ってきて。(笑)
自分の手をつくっている物質も次の日には、川の流れのように流れて行く。そう思ったら、「自分」って区切って考えること自体が、おかしいんじゃないかって。
みな、同じ。
大きな循環の中の仲間じゃないかなって。
Q)中々そういう領域には行けないですけど。でも確かにおっしゃるように体も流れの一部。量子学的に言えば、「わたし」は、ないですものね。
そうやって、全部考えるようになれれば、いろんな問題が解決できるような気がするので、それを科学的にみて分けてみちゃうから、自分のところだけ良ければ良いと判断したり、一部を切り取ってみちゃうからおかしくなるんで。
Q)全体を観るということを私達は教育などでしてこなかったですよね。
昔の日本人は、そういう全体性を持っていたんじゃないかって思います。
たぶん、失くしたのはここ100年位。それくらいの話だと思うので、それを辿れば戻れるんじゃないかと思う。
Q)まだチャンスはある?
まだまだあるんだと思います。
里山里海マイスターで、能登の長寿の集落のお爺ちゃん&お婆ちゃん達にお話を聞いたことがあって、みな自然の一部として、楽しく生活をしていらっしゃる。そういう集落こそ、長寿なんですね。
Q)例えば、日が昇ったら起きるとか、そういう一部ということですよね?
自然の恩恵を受けるための、知恵も持ってらっしゃるし、それに対して感謝もしていて。
面白いのが、長寿のところは交通の便が悪くって、買い物に行くのが大変なところが多いんです。またそういう環境だから、食材の自給率が高いんです。加工品もあまりない。
自給自足する生活、自分で作ったものを食べるという生活をしていれば、大丈夫なんじゃないかと思いました。
Q)自分の居る土地で取れた物が、自分の体に合うものといいますよね。水もそうだって言いますよね。
その聞き取り調査に行った先で頂いたお水が、もの凄い美味しくって、ペットボトルで頂いて家に持って帰ったら、子ども達が美味しいって、全部飲まれちゃいました。(笑)
Q)子ども達は本能で、自分の体にとって美味しいのを分かっている。(笑)H SEEDS(Happiness、Heart、Hope、 Harmony、Health、Human、Heritage、Holisticの種)、私達はそれぞれのこの人生で蒔く種があると思っています。先生は、どんな種を蒔いている、または行きたいと思われますか?
循環全体にとって良くなることをしながら生きていけたら、それで幸せなんじゃないかなって思っています。
それをコツコツやっていきたいですね。
Q)先生のキーワードである「循環」ですね。
循環にも良い循環と悪い循環があるとは思いますが、「良い循環、共生、調和」この3つが、僕の医療のキーワードになっていくんじゃないかと思います。また変わるかもしれませんが(笑)
Q)具体的に農業での学びが、医療に役立ったりすることはありますか?
耕作放棄地に、雑草が綺麗に分かれて生えていて、湿った所には、湿ったのが好きな草が生えて、乾いた所が好きな草は、自分の好きな環境に育つ。
先日、腸内細菌のメタゲノム解析を研究する先生とお話しする機会があって、畑のこのお話したら「腸内細菌も同じで、自分に適した環境のところで、局在しているのではないかと思います」と仰ってました。一様に細菌がいるわけではなくて、それぞれの細菌に適した場所に、それぞれにいる。
雑草の生え方と一緒のようだと話していて。
例えば、そういう雑草のあるところに人参の種を蒔いても、そこはその雑草に適した土地なので、強引に蒔いたとしても、多分人参は育たない。もし、人参を作りたかったら、土地を人参に適した環境に持って行かないとならない。
そうすると、胃腸炎の治療に整腸剤を出したりするんですが、私たちの腸内環境が適した環境になってないと整腸剤の中の善玉菌も定着しないんだろうなぁと思いました。
Q)面白いですね!それぞれの体にあった物を入れないとあまり意味がない?!
だから、腸内環境を整える方にいった方がいいんじゃないかと思います。それをどう変えて行くかは、難しいのですが。
腸内細菌の立場で考えてみると、食事や免疫や消化液の分泌なんかが、大きく関わっているんじゃないかと思います。
そうすると、アーユルヴェーダの生活の知恵とか、心のあり方とか、結局は昔から言われていることに戻っていくのではないかと思うんです。
それから、矢野智徳先生の講座で学んだように、水脈が詰まったり、空気の流れが滞ったりすると土壌が悪くなる。土壌も、人間の身体も一緒だなと思います。農業をやっていると色々分かって来て、本当に面白いです。
Q)体の循環というと、血液、毒素を出すとかですね。
そうですね、代謝の流れなど、色々有ります。
西洋医学ではあまり代謝の流れを気にかけてないような。
アーユルヴェーダや、東洋医学の方が、そういったものを取り入れていますよね。これは、身体だけ見てみると見えてこないですよね。いろいろな視点からみてみると凄い勉強になりますね。
Q)畑の状態から、身体の状態と同じとはすぐに思えないかもしれないですけど、そのように、色々な経験を結びつけられると面白いんですね。
逆に、農業から教わること、感覚的に掴めることも多いですね。
自分も大きな循環の一部と思ったら自分勝手なことは出来なくなる。
Q)もっと大きく観ること。それをただやれっといっても出来ないから、だからこそ、農業とかスポーツとか、何か本来とは別のことをすることで見方が出来て来る。
いろんな角度から見てみることで、大きく見えるようになると、色々と考えられるようになるのではないでしょうか?
いまから振り返れば、僕にとってはシンガポールに行った事が、そのきっかけになっているんじゃないかと思います。
三林寛先生のご活動
金沢メディカルステーションヴィーク:https://www.viec.jp
“You are what you eat”ブログ:http://dr-kwan.com
自然栽培の里@のと FBpage:https://www.facebook.com/shizensaibainosato/
サフラン〜日々のアーユルヴェーダ〜FBpage:https://www.facebook.com/サフラン日々のアーユルヴェーダ-912729095501058/
☆☆☆インタビューを終えて☆☆☆
全体を観る
森の再生師矢野先生は、その土地、土壌をみれば、どこが滞っているかがわかる。それはとても難しいスキルだけど、その方法を学べば、きっと診断も、自ずと分かってくるんじゃないかと、三林先生がお話されていたのがとても印象的でした。
私達も自然の一部。自然を観れば、自分の心の状態も見えて来る。どう世界を見ているかが、自分を映し出すもの。
循環全体を観る。
もっと大きなもの中に、包まれているんだと思うところから始めたいですね。生き生きと生きる長寿の皆さんから、私達の生きるヒントがあるのは、間違いないような気がします。新しいステージの生き方「半農半医」これからの先生のご活躍がとても楽しみです。
最後に質問です。
「今やっていることは、他のどんな事に繋がっていると思いますか?」