
人間が自然から離れて生きているのではなくて自然の中で生きている。そういうものをもう一回きちんと学ぶ。そういう時代になってきているんじゃないかなと思います。
Q)実際の農業とは、どんなことをしているのですか?
いま作っているのはお米、田んぼ9反。畑では、今ソラマメやえんどう豆や麦が育ってます。これから、ジャガイモ、ショウガ、大豆、オクラ、人参、大根、カブなどを育てる予定です。
夏野菜は、他の農家さんも作っているので、あと、僕らはみな兼業(他の仕事と)でやっているので、手間があんまりかからないもので、他の農家さんが作らない、ニッチなものを作っていこうと思ってます。
Q)先生の仲間は、どんなところから出来たのですか?
いまは、3人でやっています。小島友紀さんと、旦那様の小島哲也さん。
僕がまだ、シンガポールにいる時に、羽咋(石川県)の自然栽培に興味を持って、ある自然栽培の農家の方に連絡した時に「ローマ法王にお米を食べさせた男」の著者の高野誠鮮さんをご紹介頂いんたんです。
友紀さんは、高野さんと一緒に働いていらした方でその時に出会いました。
日本に本帰国してから、自然栽培の仲間と引き合わせてくれて、一緒に自然栽培をやりませんかと、お声をかけてくれたんです。そこからのご縁です。
Q)へー、面白いですね!
ご縁は、どう転ぶかわからないです。僕の意思というよりも、流れに身を任せて(笑)
Q)お仲間の方々は、みな自然栽培をされていた方のですか?
いや、みな初めてです。
新しく田んぼを借りてやることになったんですけど、その借りた所が、20年位耕作放棄されていたところで、決めた頃は春分のあたり、田植えまで後二ヶ月というところで、草ボウボウだったのをなんとか田んぼに復元して。
でも、秋にはお米が収穫出来たのを集落の方々見ていて、それを多分、回りの方々も認めてくれて、逆にうちの田んぼもやってくれと頼まれるようになって、今年は田んぼ9反。
本当に山奥で、家も10軒くらいの集落なんです。
しかも皆、お爺ちゃん&お婆ちゃんになっているので、どんどん田んぼが耕作放棄になっているんです。本当は誰かにやって貰いたいんだけどとはいえ、誰でも良い訳ではなくて、だから多分、僕たちのことをずっと観察していたんだと思います。こいつらなら大丈夫だって(笑)
Q)自然栽培といっても単に種を蒔いて育つというものではないと思われますが、どのようにそれを学んで行ったのでしょうか?
友紀さんは、それまでに木村秋則さんの「自然栽培」を羽咋(石川県)で学んでいるので、後は周りの農家さんに教えて貰いながらです。
Q)そしていま3年経って、「能登 自然栽培 みのり」として収穫したお米を販売されるようになったのですね。そしてこの字(お米の袋の表に書かれた)を書いて下さった方がまた、とても素晴らしい方なのですよね。
寺沢潤世上人は、お坊さんで、紛争地帯をうちわ太鼓を叩いて歩くなどの活動をされている方です。寺沢上人が歩くところは戦闘が止まったらしいですよ。お弟子さんを連れて、田んぼにも来て下さったんです。
Q)自然栽培をやってみて、どんなところが難しいと感じますか?
全部、難しいです。
やっぱり素人なので、植物のこともまだわからないし、土地のことも把握出来てないので、条件があえば上手くいくのですが。とりあえずやってみて、失敗しても必ず学びはあるので少しずつ進んでいる感じですね。土がどういう状態なのか、どの植物がどんな環境を好むのか気候のことなど色々と学ぶことがあります。
Q)元々の土地の水はけの良さですか?
森の再生師と呼ばれている野智徳先生の講座をに参加したのですが、矢野先生のお話を聞いていると土の中の空気と水の流れが、凄く大事だということが分かってきて。
Q)土の中の空気と水の流れ?
色々と学んで畑が色々と良くなるようにしているのですが、矢野先生からは、畑だけみていてもダメで、周りも観ないといけないということも学びました。
だから、色々とやることが増えていって(笑)
Q)例えばどんなことなのでしょうか?
畑の下流のほうに耕作放棄田があって、そこで水脈が詰まると、うちの畑にまで影響して土の状態が悪くなったりします。人の土地を勝手には触れないので、相談に行くと親切に「やってください」と言ってくださる。(笑)
好きなようにやらせて頂いています。
Q)もしかしたら、やりたくても年老いて自分たちでは出来ないと思っているかもしれませんね。
本当は、土地が荒れているなってことを、心苦しく思っているところもあるので、やってくれたら嬉しいという反応が多いですね。
有り難いですね。
Q)半分は、人に医療を通して携わって、半分は農業を通して自然を。相反するようで、実は同じ。人間も自然ですものね。先生は、どのように感じていらっしゃいますか?
相反するということが、たぶん、西洋科学的見方じゃないかなと思っています。
自然栽培、仏教、そしてアーユルヴェーダ(インド伝統医学)の元になっているヒンズー教哲学も、自然の中で生きている人間というのを対象としたもの。人間が自然から離れて生きているのではなくて自然の中で生きている。
そういうものをもう一回きちんと学ぶ、そういう時代になってきているんじゃないかなと思います。
Q)先生は今、畑を耕す様に、色々なことを柔らかく耕している感じなんですね。先生の様にこれからの私達の生き方、在り方というのも変えて、いや変わって行くんだろうなと思います。
いまの医学って、身体のところしか診てないので、周りの繋がっている循環のことは診れていない。
その身体の外側の循環がんどんおかしくなってきて、それが原因で色々な病気が起きているんだと思うんですけど、多分、西洋医学では、循環のごく一部、身体のところしか診てないので対応できない。もうすでに対応できなくなってきていると思います。これからもっと対応出来なくなると思います。
いま、田んぼやっているところで良い循環の場を作れたらいいなと思っています。
Q)なるほど、いいですね。循環の一部として、都会に住む私達がどんなところから始めたらいいと思いますか?
たぶん、どこで暮らすかより、自分が大きな循環の一部であり、一体なんだという気持ちを持つ事が大事なんじゃないでしょうか?
都会にいると自然の一部って感じづらくなってくるけど、でも、事実身体はそういう循環の中で出来ているので、それって、僕らが誤解している、間違った認識をしている。その間違った認識の上で行動するから、おかしなことが起きて来る。
都会に住んでいても、意識が変われば変わってくるんじゃないでしょうか。
to be continued
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