疋田和久さん Treans-Ocenan Technology(S) Pte.Ltd. Managing Director Ver 2

これが僕の千載一遇のチャンス、だからやります。
Q)それまでの経験を振り返ると、そこで一番どんなことを得たと思われますか?
仕事の本質ですね。
例えば、電話の内容を聴きながら想像出来る。自分のやっている仕事の想像が出来る様になる。すると、自分で考えるようになる。
こういう教育を自然にされて来ましたね。今の方は言われないと出来ませんけど。
そういう風に、自然に仕事が出来る様になりました。
Q)想像することですね。
大事ですね。
仕事をする上では、想像することは大事です。
後は、時間ですね。
効率よく時間の使い方ですね。
自分なりの時間の使い方をきっちりとやる。
自分の時間を知っていると、例えば、出かけるときに、どの位前に準備を始めるとか、そういうことですね。
Q)私達の仕事は、例えば、ツールの使い方とか、ハウツーばかりにフォーカスされているように思います。仕事の本質を体で覚える感じだったのですね。その頃は、他の会社もそうだったのでしょうか?
僕の上司が特殊だったと思います。
そんな中で20年間、メーカーで勤務していましたが、いつか海外に行きたいなと思っていたのです。漠然とした思いの中、仕事を辞めてしまいました。しばらく、東京で弟の会社を手伝いながら居ましたね。
Q)当てがないけど、湧いて来たことに時を待つ。
なんとかなるだろうと思っていましたね。
あと一つはね、以前の会社での自分の将来が想像出来た。自分が年行った時の行く末を想像してしまったんですね。
やはり海外に行きたいと思って。
Q)自分の描く先に進みたいという気持ちがあっても、不安もあって、困難もあって、そんな思いでいる方々に疋田さんからメッセージするとしたら、どんなことだと思いますか?
ひとつはね、あまり不安に思わずに、一旦決めたことを、とにかくやってみるですね。
それで、1、2年それを続けていくうちに判断していく。そこで考えたらいい。やってみることが、第一ですよね。
Q)多くの方がなんとなく不安が湧いて来る。だから心に描いたものを打消してしまいます。どうやってそれ持ち続けられると思いますか?
ぼんやりとした自分のなりの夢のようなものを持っていることは重要だと思う。
ただ、もしそれが実現しそうな瞬間が訪れたら、躊躇せず、掴む。
誰かに相談しても、仕方ないんです。
自分の事だから。
誰かに相談すると、色々なことを言われるから増々不安になるもの。
自分で決めてしまう。
Q)再びシンガポールで仕事を初めて、どんなところが良かったですか?
まずは、時代が良かった。
当時は、日本人っていうだけで、お客様が対応してくださった。どんな大きな企業の方でも会ってくださった。日本だと会えない人に出逢えることですね。
シンガポールで転職して17年後、日本の経済も落ち始めリーマンショックとかあって、2008年末に、その会社がシンガポールから引き上げてしまったんです。
それで、スウェーデンの大企業が、その工場を買収したのですが、その時の方が、その工場を使っていいよって言って下さったんです。
疋田さんなら辞めずに、この工場で(自分の仕事を)やっていいよって、スウェーデンの会社の一部として、そこで雇ってもらったんです。もの凄く良い方でしたね。それで、2012年頃になって、シンガポールで初めて勤めた会社の、社長様から連絡があったんですね。
世代交代して、新しい社長になった方からご連絡を頂いたんです。
ぜひ、戻って来てくれませんかと。
Q)シンガポールで最初の会社で合わないなと思って辞められた所から、お声がかかったのですね?
そうです。そして時間を置いて、また連絡を下さって、今度は助けてくれませんかとご連絡頂いたんです。お話を聞きながら、実はお断りしてくれるかなという思いもあって、僕の給料は高いのでと率直にお伝えしたんです。
スウェーデンの会社ですから、お休みも自由に取れますし僕としては良い待遇で居ました。
多分、お断りして下さるかなと思っていたのですが、そしたら、お伝えした金額でいいですと言われたんです。
Q)助けて欲しいということは、会社としては大変な状態だったのですね。
20年も営んでいる会社でしたが、シンガポールでの業績が伸びない。本社としては、なんとかして継続したいという思いがあったのですね。
そこで、立て直して欲しいとご連絡頂いたのです。それで、わかりましたとお受けしたのです。
それがまた、移って半年後に「疋田さん、すまんけどシンガポール社を撤退します!」と言われたんです。(笑)
それが2013年、68歳の時です。
Q)えっ半年で?ここでも急展開ですね!その時は、どう思われたのでしょうか?
どうしようも出来ないなって思って、じゃ、会社を創りますって。
Q)会社を創ります?
仕方ない、創らざるを得ない。
一対一でお話をして会社を創りますと。
これが僕の千載一遇のチャンスやだからやりますって。相手は、びっくりしていましたね。「本当にええのか?」って念を押していましたね。
Q)でも、決意をされたのですね。
ひとつには、シンガポールに居たいという思いでしたね。ならば、会社を起てよう。
仕事は、ずっとやって来たことでしたし、ただ最初の立ち上げの資金が心配だったということですね。それ以外は、不安は無かったですね。資金を家族から借りて始めました。
Q)自分で起業してみて、どのように感じますか?
自分のやりたいように出来るという点ではとても楽ですね。思い描いた様にやる事が出来る。
ただ、経営、資金繰りなど、このようなことを考える様になったことが今までとは違いますね。
昔から大きな会社にはいるより、小さな会社でトップになることと言われますけど、それは、今ならわかりますね。
Q)今振り返った時、40代、50代で起業するのとどんな違いがあると思いますか?
あー、あのね。振り返ってみると2008年、一度そういう機会はありましたね。スウェーデンの会社に移る前ですね。その時、会社を買わないかって言われたんです。
その頃は、残念ながら発想は全く無かったですね。
でも、68歳にしてようやく、やっと自分でやってもいいかなと思えるようになった。自分では、自分の年のことを感じてなかったですね。よく皆から68歳になってと言われますけど、僕は、年齢の事は全く考えてなかった。
Q)逆に言うと、疋田さんが今おっしゃった様に、年齢の概念が無いから進めたのかもしれませね。とはいえ、勇気が要ることですね。
勇気?
う〜ん、というより、これもやっぱり、ごく自然ですよ(笑)心配したことは、最初のお金ことだけ仕事の仕方も、お客様も知っている。
自然な流れで出来た。
その後も、前社の社長さんが心配して、疋田さん、千載一遇のチャンスでやると言ったよなって、念を押すんです。きっと呼び込んでおいてという責任を感じられたのでしょう。いまだに心配して下さります。
to be continued
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