川合大介さん LA TERRE RESTAURANT PTE LTD ディレクター チーフソムリエ Ver 1

世界のトップレベルのレストランが増えるシンガポール。そんな中でチーフソムリエとしてご活躍中の川合大介さん。先日もシンガポールで開かれたワインズ・オブ・ポルトガル・アカデミーで優勝されました。苦手だった英語が、今では英語を使ってソムリエとして世界へ。ここシンガポールからこれまでの、そしてこれからの思いをお伺いしました。
ただ目の前にあることを続けて来ただけなんですよ。
Q 35カ国を回って来たとお伺いしましたが、どのようなスタートで海外に行かれたのですか?
学生の頃は、英語が苦手で一番嫌いな科目だったのですが(笑)
海外に興味を持ち始めたのは、帝国ホテルでアルバイトしていた時に、外国人のお客様に接客することが多くて、一言でも“コーヒー如何ですか?”って、通じると嬉しくって。
もっと英語を話してみたい、世界を観てみたいと思って、21、22歳の頃に、ワーキングホリデーでオーストラリアに1年行きました。初めての海外生活でした。
Q この時は、特にソムリエのお仕事や、お勉強ではなくて行かれたのですね。
そうですね。
ただ、既に飲食業、サービスの仕事に携わっていましたし、オーストラリアでは、和食、シーフードレストランで働いていて、知らなければ仕事が出来ない環境でしたのでワインにも興味を持っていました。
3ヶ月働いて、休み、また3ヶ月働いてと後は、オーストラリアで遊んでいました。(笑)
Q それは、良いですね〜
本当に、良かったです(笑)
Q その後は、日本に戻られたのですか?
日本に戻って飲食業についていたのですが、どうしても、もっと世界を観たくなって、スポーツバックをひとつ持ってヨーロッパ10カ国、2ヶ月かけて回りました。
オーストラリアでステイしていたユースホテルなので、知り合った方達を訊ねたりしながら回りました。
Q 初めての海外生活、そして2ヶ月の旅で川合さんはどんな事を得たと思いますか?
そうですね。
日本にいるだけでは、世界は分からないってことですね。
日本以外の文化を知って、逆に日本を見直す機会になりましたね。客観的に見られるようになりました。ヨーロッパの2ヶ月間は、レストランに行った時に、サービスなど興味を持ってみていました。サービス、オペレーション、全体の接客ですね。
Q ヨーロッパでも、アンテナを立てて見られていたのですね。
オーストラリアでは、接客、サービス、それらを含めて、ホスピタリティ産業と言います。自分としては、ホスピタリティにもっと突き詰めて行きたいと思っていました。
Q 日本に戻られてからは、どのようなことをされたのですか?
その後もずっと、飲食業ですね。
アルバイト、派遣、正社員を通して、その合間に海外に旅行に行っていました。そうやってずっと続けていたので、ただのサービスの係ではなく、ソムリエの資格を取れば、周りとの差が出来るのではないかと思い勉強をし始めました。
Q もう一つ幅を広げる為に、ソムリエの勉強をはじめたのですね。
ソムリエは、ワインのプロフェッショナルと思われますが、ソムリエの資格を取るには、飲食業で5年間働いた経験がないと取得できないんですね。
今の時代はわからないですけど、学校を卒業してソムリエになりたいから、ウエイターとして飲食店で働くという人は、僕の時代にはあまりいなかったですね。飲食店でやっていくうちに、少しずつ、少しずつ。新しい分野を開拓して行きたい、そんな思いで僕は始めました。
下積みの経験がないと、決して優れたソムリエにはなれないと僕は思っています。
Q その道に入ってみて、どんなことを感じましたか?
ただ、ただ目の前にあることを続けて来ただけなんですよ。
他の人に差をつけたい、負けたくないという思いで、そんな感じでやって来て、それがただ飲食業であり、ソムリエだったということです。よく取材で、いつワインを始めようと思ったのですかって聞かれるんですね。それ、本当に答えようがなくって、(笑)
これだっと思ったわけではなくって、気付いたらこの道だったと思うんです。
Q やっていく中で、自分の中の変化は、どんなことがありましたか?
飲食店では、イタリア、フランス、和食もやりました。やはり、食って文化なんですね。
世界を知りたいから、食なのか、食文化を知りたいから世界に行ったのか、どっちが先か分からないのですけど。そんな中で、ワインに限って言えば終わりがないんだなと。ワインに関して、未だに僕が知っていることなんて、ワイン全体からしたら、ほんの一部で。
一生かかっても、全部を知ることは出来ないほど。
造り方とか、葡萄品種の違いを知るとか、世界には3,000種以上も葡萄があって、僕が飲んだ事がない品種はいまでも沢山存在しますし。終わりがない中でも、何度も言うけれど他の人よりも一歩先に出たいって思いで負けず嫌いなんでしょうね(笑)
Q 終わりがない中で続けて行く中で、どんなことを思いましたか?
終わりがないそんな中でも、シニアソムリエの資格を取りました。アメリカの資格でCertified Specialist of Wineも取得したり、これは英語で試験があるんですね。
あと、フランスのシャンパーニュ騎士団に入団したり、2013年には、シンガポールのワールド・グルメ・サミットという食のイベントがあるんですけど、そこでベスト・ソムリエ・オブ・ザ・イヤーという賞を頂けて。
段階、段階で、あれが出来た、これが出来たというのは喜びであるし、次は何が出来るかなと、常に思っています。
Q ひとつひとつ重ねて行く中で、チャレンジをしてく感じでしょうか?
そうですね。ポルトガルのワイン・コンペティションのWines of Portugal Academyも、その日が来る数日前に知ったので。
勿論、そういう大会を目標に準備をしてくのも大事ですけど、日々仕事をして行く中で、少しずつ自分の知識や力量を、鍛えて行かないと思っています。
すでに、何か大会があったら取りたいと思っているので、日々、何時出ても良い様に準微をしていくってことですね。
Q 一つ一つやって継続していくって、実はかなり辛い作業でもありますよね。どのように乗り越えて来たと思いますか?
そうなんですよ(笑)
日本に居た時は、よく成功哲学書。例えばナポレオン・ヒルとか、色々読んでいて、いまは現実的でなくても、例えばコンペで1位になりたいとか、仕事で成功したいとか、次は何をやってやろうって、密かに思っています。くじけそうになる時もあるけど、極力ずーっと思うようにしています。
その機会が来た時のために。
Q その為に、毎日がその準備なのですね?
そうですね。
毎日、少しずつ。そんなに鍛錬している訳ではないですけどね(笑)
あの学校を出て、一つの仕事以外、ずっと20年近く飲食なんですね。
その仕事っていうのが、海外旅行の添乗員なんですが、その時の経験がもの凄く今、役立っています。空港から出たら、そこから何が起きても自分一人で、全部お客様をまとめなくてはならなくって、次は何かとか、時間の通りに運んで行くとか。
あの仕事は面白かったですね。
Q その経験が今に生かされているのですね。
仕事は異なっても、全て無駄は無いですね。
人生経験、全て繋がっていると思います。
to be continued
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