
私にとってこの環境は、テーマパーク。
今日はどのアトラクションで遊ぼうかって、ワクワクする。
Q) シンガポール旅行から持って帰って頂きたい所は、どんなところですか?
むしろ逆に、こちらに来て比較することによって、もっと日本を再認識して欲しいですね。違いを見ることによって、両方の良さに気づく。そういう体験をしてもらいたいですね。
海外旅行って、結局家に帰って、お茶を飲みながら、“やっぱり家がいい!”って、思うために行くようなものじゃないですか?(笑)なぜ、そう思うかを考えてみる。非日常に入ることによって、日常の良さを再認識する。勿論、私はシンガポール側の人間でもあるので、ここの良さも伝えたいですね。
シンガポールは何もない所から、一から創り上げて来た。ここで自然と思えるものも、殆ど人工で、だからこそ、シンガポールって一つ一つに意味があると思っているんです。
人間が、ここに木を植えよう、ここに、これを建てようという目的、その意味を考えるのは面白い。シンガポールは、本当に合理的で無駄が無い国なので、なんとなくやることが、ひとつもないですね。本当にない。全て意味があってやっているんです。
例えばね、ECP(湾岸高速道路)に、レインツリー。アメリカネムの木って言うのですけど、なぜ、その木が両脇に植わっているのか、知っています?
日本は、レインツリーのような枝葉の生い茂るものは植えないですよね。
日本では、シュット縦に伸びる木です。台風、雪などで枝が折れたら危ないからですね。シンガポールでは、台風も雪も無いのでむしろ枝の張るものを植えて日よけ、雨よけとして、植えるんです。しかも、なぜこの木だと思います?
葉っぱが凄く小さいんです。落ちて、舞っても、邪魔にならない。そこまで計算してシンガポールは、木を植えるんです。
それで、ECPでもまっすぐな道なところがあるんですね。それは、緊急用滑走路になるんです。途中から、大王ヤシしか植わってないところありますでしょう?
Q) はい、空港の手前あたりですよね。ずーっとやしの木ですよね。
しかも、道路の真ん中の埋め込み、あそこだけ植木鉢なんですよ。30分で、すぐに動かせるようになっているんです。
そしてなぜ、大王ヤシなのかというと、緊急時に30分内に切れる太さの木が、選ばれているんです。レインツリーは太くなってしまうけど、大王ヤシは縦に育つ木なのど、どの兵士がきても30分以内に切れる木なんです。
Q)そういうことを考えてやっているんですね。
黄色い花多いと思いませんか?
そう、花の色まで計算されている。
Q) そうやって実行しているってことが、シンガポール政府の凄いところですね。
いや、風水が結果を出しているからです。シンガポール人は、結果がでないものは信じない。これだけこだわるのは、結果がでている証拠だと思います。
いろんな意味で、本当にこの国は凄いんです(笑)
Q) こういう事を全て含めて、美佐さんの思うシンガポールの魅力とは?
日本人と180度違う目線ですかね。視野が広まるっていうのでしょうか。シンガポールには、日本の目線では見えてこないものが沢山ある。そこに気付きを与えてくれるのがシンガポールです。
そうやって広い視野を保っていけたら、もっと世の中楽しくなります。物や物事は平等にそこにある。そこに何を見出すか?その目を持つってことですよね。
今度からECPを通るとき気付きますよね。今まで普通に通ってたけど、それが特別なことになる。ほら、好きな人の家を見つけてさそこを通るとき、そこだけ光って見えるみたいな。(笑)いままで何度も通っていた道なのに、そういうことなのよね。
自分が何を見出すかで、どれだけそこに魅力を持てるか?
Q) 人生も、そういうことですよね?
そうなの
そうなのよ。
だからこそ、(修学旅行の)学生に言いたいの。俺たち来たくって来たんじゃない、連れてこられたって、ダラダラしているんだけど、帰る頃には、目がキラキラしてくるようにしたい。(笑)こんな小さなシンガポールで、色々なものを見つけられたら日本に帰ったら、もの凄く沢山のことを探せるって言うのです。
Q)日本にも一杯ありますものねー
そう、一杯ある!!
あるじゃーんって思う。
シンガポール、ここ面白いって思って帰れる子は、日本帰ったら凄いですよ。なんたって日本は、シンガポールの535倍も広いんですから(笑)そういう目で世の中見ると、どんだけ人生変わるかなと思う。
疑ってみるということは大事よ。ひょっとして、私が見えてないだけかも?ってね。
人は、自分の見たいものだけを見ている。それが自分の世界。だから確実と思っているものはないのよね。どれだけそれを壊して行けるか。
Q)目からウロコですね。ここに長く住んでいても、見えてないものありますね。(笑)
見えてない(笑)
視点を変える事で、世界が変わる。世界が変われば、人生が変わる。
私にとってこの環境、地球はテーマパークなの、アハハハ(笑)シンガポールはさしずめ、LKY(リー・クアンユー)ランド。そこに遊びに来た人なの、だから毎朝起きたとき今日はどのアトラクションで遊ぼうか?って、ワクワクする。飽きるまで好きな同じアトラクションに乗ってもいいし、ベンチでのんびりも良しよ。
Q) 逆に、海外在住だからこそ、見えてくる日本ってありますよね。
日本、大好きです。おまけに凄い(笑)海外にいるからこそ、日本の良さも気づきました。
ツアーで、トイレの話もよくするんです。和式のトイレで、トイレットペーパーが取り難いなと思って、友人に聞いたら、向く方向が違ったんです。海外では、ドアに顔を向けて用を足すんですよ。
日本だけ逆
ローカルのお友達たちに、“当たり前じゃん、何言っているの!”って言われて、その答えは一生忘れない。“だって、危ないじゃん”でした。
もう驚きでしたね。日本では危なくない、誰も危険と思わない。4000年の昔から(笑)日本では 皆んなが当たり前だと思っていることが、世界に出ると凄いことだったりする。日本に居ると皆んな同じだから 気がつかないだけ(笑)
あとこれもあまり日本人は意識していないんですが、日本人の団結力にも、他国には無い特異性がありますよね。シンガポールの法律が細かいのは、共通の常識がないから、政府が人間としてここまでは守ろうねという決め事をしないと、同じ認識が持てないから。
日本は、そこまで決めなくても、躾で収まる。日本の躾の真髄は型では無く、臨機応変だと思うんですね。
心を教える。
だからこそ、有事には自然と一人一人が決断できる。話し合わなくとも自分のどこを引っ込めて、出していいかをわかる民族。日本には、そういう底力がありますよね。
Q) 私たち日本人が、海外に住む。その立ち居地ってどんなことを感じますか?
なぜ、ここにいるか?
海外旅行にいくと思いません?自分は、目の前の人にとって、最初で最後の日本人かもしれないって。そういう思いでいます。こっちにきたときに、日本人っていうだけで、皆に本当によくして貰えたですね。日本人というだけで。
それを作って下さったのは、先人だということですよね。先人たちが良いイメージを残してくれた、御陰なんです。戦争という時代もありましたけど、将来に繋げていくという役割は、海外にいる私たちはあるのではないでしょうか。
これも修学旅行生に言うのです。制服着てオーチャードを散歩するんですけど、皆どこからみても一発で、日本人ってわかるよって意識してねって。出会う人にとって、最初で最後の日本人になるかもしれない。
Q) そうですね、国から出たことがない方にすれば、私たちが日本ですものね。
ひとり一人が代表として振舞うのは大事。それがどう後世に繋がるかわからない。いま、こうして居られるのは、本当に先人たちの御陰ですよ。
to be continued
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