
2015年の今年は、シンガポール建国50周年記念の年、その半分位の年月をここで暮らし、その中で見えて来たもの。シンガポールを知ることは、自分の世界観を変えることと、安田美佐さん。延べ25,000人程の日本人旅行者をガイドされ、仕事を通してシンガポールと日本を繫いでいるもの、そんな楽しいお話を伺いました。
シンガポールは未来の縮図
Q) シンガポールに来たきっかけは、どんなことでしたか?
20年程前に、シンガポールに来ました。
以前、東京紀尾井町にある、ホテルニューオータニで働いていたんですが、当時は、そこで働いている30代以上の女性達が あまりにも苦しそうで(笑)ずっと仕事をして 経済的にも自立したいと思っていましたのが、なんとなく自分の将来に疑問を感じました。
毎日の通勤電車の中でも、目の前に座っている、30、40代と思われる人達を、何気なく見ていて、自分の将来を想像してしまったのですね。うーん……、ちょっと変えてみたいなと、それで、海外に行く希望を会社に出しました。
ドイツ、アメリカ、そしてシンガポールでのお話を頂きました。当時の上司としては、シンガポールは選ばないだろうと思っていたようで驚いていました。
Q)なぜ、周りも驚くシンガポールだったのですか?
直感で、なぜか“シンガポール!”って、思ったのです。
なんだか、アジアの方が活発なイメージ伸び代がある感じがして選びました。
Q) シンガポールにいらしてみて、どうでしたか?
カルチャーショックでしたね。(笑)
来星して、いきなりこちらの職場で部下を持って、自分は上司としてスタートして、日本では言わなくても動いてくれるけど、こちらはそうは行かない。
そもそも、言葉が良くわからない。「ノーラー」?、「カッパ」?、「キャンキャンラ」?(笑)
週に1度、会議があるんですが、議題すらわからない。日本に居た時の上司はスイス人だったので、英語は一応理解出来ると思っていたら、それがさっぱりわからず。もう、会議の日は恐怖でしたね。(笑)
そんな中で1年後、知人のシンガポール人が旅行会社を設立して、ツアーガイドとして来ないかと、お誘いを受けてそちらをお手伝いすることになりました。
Q) ホテル勤務から、ツアーガイドのスタートは、入りやすかったのではないですか?
とんでもないです。ホテルで勤めているときは、住まいもホテルでしたので、オーチャードストリートすら、滅多に行ったことがない。(笑)勉強することは、山ほどありましたね。
ガイドになるための勉強も、周りはシンガポール人ばかりで、教材のスライドがスクリーンに映し出されて、彼らはパッと、歴史上の自分物だってわかるんですよね。私には、さっぱりわからない。(笑)もう、人の10倍くらい勉強しましたね。
なので、周りのサポートを頂きながら、シンガポールの観光局のライセンスを取得しました。
メリットアワードと言って、卒業時にトップ5名が選ばれるアワードがあるのですが、それも頂きました。下手したら試験も受からないと思っていたので、勉強の努力を認められたのでしょうね。(笑)
Q)5名の中に入ったのは、素晴らしいですね。どんな思いで、ガイドの勉強をしていたのですか?
勉強自体は、面白かったですね。その時に、シンガポールの面白さをどんどん知って、ここにいらっしゃる人に教えて差し上げたい、もっと知って貰いたいなと思いました。
自分はそれまではシンガポールって、つまならいと思っていたんですね。旅行で来ても、観光としては観るところもあまりないと思いましたがでも、知れば知るほど、シンガポールの魅力に気づいて。
殆どの旅行者の方が、“暑い、暑い”と言って帰るそれだけじゃもったいないなと思って(笑)
私のツアーバスに乗った人には、ちょっとでもシンガポールの秘密、奥の深さを知ってもらえたらと思って、お話しています。
Q)これまでシンガポールに住んでみて、ここの面白さはどんな事を感じていますか?
ある意味、この国は「地球の縮図」未来の地球の縮図だと思っています。
狭いところに、色々な民族の人が居て一緒に生活している。資源もなく、食料もなく、水すらもなくなんにもない。地球も将来的には、水も食料も不足し、狭いところで色々な民族の者で一緒に共存、共栄していかなければならない。
それが地球のテーマ、将来のテーマだと思うのですね。
それをシンガポールでは体現していて、克服して、成功させている。未来の成功例をここでやっている。他の国々の先を行っている感じですよね。
Q)これだけ色々な人種が上手く交わっている場所は、ないですよね。
ここだけですよね。
民族間の抗争がないって、ここだけですよ。
Q) それぞれの宗教上の祝日も、皆の祝日というのもいいですよね。
そういうコツも学びましたね。異人種とか、習慣の違う人と、どうやっていくかというコツですね。
絶対的に正しいものとか、ないじゃない?絶対的に良いものは、存在しない。自分中にそう思うだけで、それは他の人に通じないことで、それが当たり前なんだと、認識すること。だから、ジャッジしないことですよね。
私も以前は不平があって謝らないしとか、ここの悪口言えば沢山ありましたけど。
ある日、思ったんですね。外から来た者が、あーだのこーだとそれはおかしいとか、間違っているとか、変だと言う。人様の国にお邪魔して その国の人が長年培ってきた文化を外人がとやかく言うこと自体、傲慢であり、大きなお世話ってことに気がついてそれからは変わりましたね。
Q) 先程の“未来を小さくした縮図”って、素敵な発想ですね。
シンガポールのバランス感覚、素晴らしいんですよ。
シンガポールの元の思想としては、易学とか、風水なのでバランスを大事に考えているんですよね。開運風水ツアーなんかももやるんですがなんでこんな形の建物なのだとか、分かるんですよ。大人が真面目にそれをやってる。笑っゃうくらい面白いですよ。
Q) 何かひとつだけ、その秘密を教えてください(笑)
例えば、マーライオンも風水で出来ています。易学では、お水はイコールお金を表していて、下からポンプアップしたお水を、口から出している。シンガポールにお金が回って行きますようにと、いわば招き猫として建てられたのです。
そもそもシンガポール川には龍神様が居ていて、川からは強いパワーが出ているんですね。
川沿いの建物には、あまりにも強いそのパワーに、商売を奪われないようにパワーを跳ね返えさせる形の建物が、幾つもあるぐらいで。あるホテルなどは、その場所が龍神の通り道にあたるため、わざわざ建物に穴を開けて造ったりして、このようなお話が、まだまだ他にも一杯あるんです。(笑)
この国は、地下鉄の位置もビルの形も、みな風水師に相談して決めている。またこの国は、人々のパワーも凄く感じますね。もうそれこそ、国全体がパワースポットみたいな。風水だけに限らず、シンガポールには意味の無いものは一つも存在していない。逆を言いますと、忽然と消えているものにも、意味があるんですね。
気がつきましたか?忽然と消えたもの。電柱、自動販売機、野良犬、野球少年、ママチャリ……。本当、一つ一つがね、シンガポールを象徴する意味があるんですよ。
to be continued
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